「お父やんとオジさん」既刊・関連作品一覧

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お父やんとオジさん

あなたは、こんな夫に、こんな父親に、会ったことがありますか。

家族を守ることが生きてゆくこと。そこに迷いはなかった!

ボクにはオジさんがいた。久しぶりに帰郷したボクは、かつて父のもとで働いていた権(げん)三(ぞう)から、若き日の父とオジさんの話を初めて聞き衝撃を受けた。

少年はひとりで日本に渡り、働き続け、家族を持った。戦乱、終戦。妻の弟・吾郎は家族と祖国のある半島に帰る。5年後、朝鮮戦争が勃発。吾郎は戦乱に巻き込まれる。過酷な潜伏生活を強いられた弟のために、妻は夫に救済を求める。戦火の中、夫・宗次郎は義弟を助けに戦場に突進する。救いを求める弟。生還を祈る妻と家族。戦火を走る主人公たち。
家族の絆を命がけで守り抜く父の姿を描いた、伊集院文学の原点。
新たな代表作というべき、自伝的長篇小説の決定版。

【伊集院静氏・プロフィール】
1950年山口県生まれ。’81年短編小説「皐月」でデビュー。’91年『乳房』で第12回吉川英治文学新人賞、’92年『受け月』で第107回直木賞、’94年『機関車先生』で第7回柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で第36回吉川英治文学賞をそれぞれ受賞した。主な著書に、『白秋』『アフリカの王(上・下)』『あづま橋』『海峡』『春雷』『岬へ』『美の旅人』『少年譜』『羊の目』『スコアブック』『作家の愛したホテル』『志賀越みち』がある。