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えんじ色心中

――君のこと忘れたこと、なかったよ、これから先も、100歳になっても。

16年前に起きた『西池袋事件』。被害者は受験戦争を潜り抜けて超難関校に合格した中学生。加害者はその父だった……。歳月を超え、繰り返された悲劇と『西池袋事件』をつなぐものとは?

あのときからずっと、僕は遺書を書きつづけているんだ。

人は、どうして生きるの。どうして、死んではいけないの。どうして、殺してはいけないの。生きる意味って。死ぬ意味って。殺す意味って。
君は、そういって、あの年代特有の勝気な視線で、僕を挑発した。「生きる意味」。それさえ口にすれば、すべての大人が口ごもる。「死ぬ意味」。それをいえば、世間を負かした気になれる。「殺す意味」。それを問えば、完全に君たちの勝利だ。――<本文より>