〈渋沢栄一が"怒濤の人生"を振り返り、後世の私たちに語りかける〉
〈「最後の肉声」に込められた希望のメッセージ〉
時勢が緊迫する昭和のはじまりにあって、人生の黄昏を迎えていた「日本資本主義の父」は、後世に何を言い遺こそうとしたか。
「家訓」にはじまり、倫理観、経済観、政治観、人生観など広汎なテーマについて32項目にわたって、幕末維新の経験をふまえ、日本の明日を憂いながら語り尽くした談話集「青淵論叢」を、渋沢という人物を知り尽くした鹿島茂が読みやすく現代語訳し、さらに懇切に解説。
「金というものは社会の力を表彰している役にたつ道具ですから、これを貴ぶのは正当なことですが、しかし、必要な場合にはよくこれを消費しなければなりません。消費はもちろんよいことなのです。よく集めてよく散じ、もって社会を活発にし、それによって経済界の進歩を促すのはまさに有為の人が心がけなければならないことなのです。真に経済のよくわかった人は、よく集めてよく散じるようでなければなりません。よく散じるとは正当に支出することです。金を善用することです」(本書「富者の要務」より)
「江戸の封建主義に代わって明治・大正の資本主義が登場しても、官は官のもの、民は民のものという疎外的分担体制はよりひどくなっている。
これは、自分にも責任があるのだから、なんとしても最終解決しなければならない。
では、どうすればいいのか?
これが、日本の資本主義をほとんどゼロから独力で作り上げた渋沢が古希にあたって再度、自分に問いかけた疑問だったのである」(本書「編訳者解説」より)
【本書の主な項目】
立身出世の秘訣/信用を得る人得ない人/叱言(こごと)の云い方/真の成功とは何か/予の人物鑑識法/大国民は斯う有り度い/外来思想と咀嚼消化の力/国家観念と世界主義/政治経済と道徳観念/道徳と経済の合一説/事業経営に必須の条件 ほか
+ もっとみる