この200年を通して、世界は、そして日本も独特の仕方で、「近代」のもたらした「自由」を解消するような方向に「進化」しているのではないか。政治社会的解放の成果が、テクノロジー経済の自律的発展によって、「新世界」という新たな身分制社会になだれ込んでいるのではないか。
激変する世界の動態を、現代思想の鬼才が解き明かす!
【本書の主な内容】
はじめに 行き先が不透明/急き立てるテクノロジー/底が抜けた状況/真理の崩壊
第1章 今の世界に至る道
1 分断した社会
戦後レジームからの脱却/極端に分離する階層/新自由主義が社会を刷新してゆく
2 ヨーロッパと大戦
ウェストファリア体制と第一次大戦/第二次大戦とフィラデルフィア会議/ル・ペンの国民戦線
3 人権や平等に疲れて
国民は使い捨ての資材に/平等社会は再階層化している
第2章 アメリカの大転換
1 その成り立ちと「自由」
モンロー主義とアメリカの「解放」/所有権に基づく自由/無徴のインターネット・アドレス
2 格差と不満
「アメリカの没落」/アメリカの中国脅威論/白人の被害者感情
3 もうアメリカを見習うな
武器を売ればいい/世界秩序はいらない/赤狩りを生み出すような自由
第3章 日本は朝鮮半島をどう見ているか
1 韓国政府に干渉する日本
米朝会談が不満/日本に三権分立はない/問われなかった戦争責任
2 拉致問題の経緯
右派集団の台頭/「歴史修正主義」の勝利
3 なぜ北朝鮮は核を持つのか
南と張り合っていくために/対米核武装の成功/悪い国でいてもらわないと困る
第4章 日本の明治一五〇年
1 形成と変容の概説
西洋の世界展開と日本の参入/近代日本の進路のずれ/「自発的隷従」の時代へ
2 明治時代とは何だったか
正統性の論理/主権とは何か/民主制と交渉の主体
3 逆のドライブと天皇制
一世一元制/天皇の権威/なぜ元号に固執するのか/宗教の自由と神道
4 昭和の敗戦がもたらしたこと
独自権力になっていく軍部/装置としての天皇制/占領下の改革の受け止め方
5 失われた三〇年としての平成
GHQと日本の支配層/平成の三〇年で失われたもの/神道国家派の大攻勢
第5章 令和の日本と世界のこれから
1 西洋的世界の変質
「テロリスト」の発明/フランスとアメリカの歴史否認
2 ポイント・オブ・ノーリターン
「身分制の方がいいんじゃないか」/全能ではないことがベース/人間が不可能になる
3 新型コロナ禍とパニック
命か経済かの選択?/行政の瓦解/コロナ後の出口
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