内容紹介
関東大震災の混乱のなか亀戸事件で惨殺された若き労働運動家は瑞々しくも鮮烈な先駆的文芸作品を遺していた。
知られざる作家、再発見
関東大震災の混乱のなか亀戸事件によってわずか三十四歳で非業の死を遂げた労働運動家・平沢計七。
彼は少年時から鉄道会社の大工場で労働現場に立ち、やがて労働組合活動に入っていったが、その短い生涯で、瑞々しくも鮮烈な文芸作品を遺していた。
短篇小説十三篇、戯曲七篇と評論・エッセイ七篇を精選し、知られざる先駆的作家に再び光をあてる。
祖国の手で打砕かるゝか、
民衆の手で打砕かるゝか
死を予想しえた若き労働運動家、
その知られざる文学的航跡。
大和田 茂
平沢は日々の労働運動や社会運動の中で、数々の軋轢、暗闘、分裂をいやというほど味わってきた。なぜ、人々は階級的憎悪をもってテロリズムに走るのか、なぜ思想のちがいや意見対立、すなわち小異を捨てて大同団結できないのか。彼にとって、革命は遼遠の彼方であった。(中略)平沢はさらに労働者の意識に下降しようとしていた。彼は指導者意識が強かったが、一方では小説、戯曲、講談などで人々の内面にわかりやすく訴えかけていこうとした。「解説」より
製品情報
製品名 | 一人と千三百人/二人の中尉 平沢計七先駆作品集 |
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著者名 | 著:平沢 計七 編・解説・その他:大和田 茂 |
発売日 | 2020年04月13日 |
価格 | 定価 : 本体1,800円(税別) |
ISBN | 978-4-06-518803-3 |
判型 | A6 |
ページ数 | 352ページ |
シリーズ | 講談社文芸文庫 |
初出 | 「一つの先駆」(1924年3月、玄文社刊)及び「平沢計七作品集」(2003年12月、論創社刊)を底本とし、大和田茂氏により小説13篇、戯曲7篇、評論・エッセイ7篇を精選し、再編集した。編者により、出来得る限り初出誌との校合を行い、明らかな誤記、誤植を訂正するとともに、現代の読者にとっての読みやすさを考慮して、一部振りがなや送りがなを補うなどしたが、原則として底本に従った。 |