ゆりの木荘は、100年以上も前に立てられた立派な洋館。いまは有料老人ホームになり、サクラさんやモリノさんたち、6人の老人が住んでいます。春風が吹くある日、サクラさんはだれかが歌う手まり歌──時々聞こえる歌──を耳にします。モリノさんにいわれるまま、サクラさんがその歌を口ずさんでみると、ふたりは突然、子どもになってしまいました。そう、87歳のおばあさんではなく、10歳ばかりの女の子に……。 それは、77年前の約束のために、「あの子」がサクラさんたちを呼び寄せたからでした……。
富安陽子(とみやす・ようこ)1959年東京に生まれる。和光大学人文学部卒業。『クヌギ林のザワザワ荘』により日本児童文学者協会新人賞、小学館文学賞、「小さなスズナ姫」シリーズにより新美南吉児童文学賞、『空へつづく神話』により産経児童出版文化賞、『盆まねき』により野間児童文芸賞、産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞。『やまんば山のモッコたち』はIBBYオナーリスト2002文学作品に選ばれた。
佐竹美保(さたけ・みほ)富山県出身。富山県立高岡工芸高等学校デザイン科卒業後上京し活動。主に児童書の挿絵を担当し、SFやファンタジーの分野で活動している。 『魔女の宅急便』(その3、その4、その5のみ)、リンの谷のローワンシリーズ、『魔法使いハウルと火の悪魔』など、よく知られた児童文学作品の数々の表紙や挿絵を描いている。