愛理──
みなみ、雄大、晴樹、あたしにまかせて。
「よーい」
先生の声が響いた。
次の瞬間、「すべて」が弾けた。
大地をけって、あたしは飛び出した。
雄大──
ハルが、ぐんぐん近づいてくる。
いや、ぼくが近づいていくんだ。
そんなこと、どっちでもいい。
ハル、落とすなよ、このバトン。
晴樹──
彼女の姿はまだ、目に入ってこない。
ボクが見ているのは、空や。
空と大地だけや。
地面をけって、空へ向かって走りながら、ボクは思い出している。
空から降ってくるような、みなみのことばを。
みなみ──
最後の3メートルのところで、わたしはトップの男子の真横に並んだ。
あとはダッシュで駆けこむだけだ。
腕を動かす。激しく、シャープに、空気を切るように。
ふっと、糸が切れたかのように、隣を走っていた男の子が視界から消えた。
(本文より)
運動会400Mリレーの予備選チームが決まった!俊足のみなみ、本の虫雄大、ピアノ少女愛理に、走るのが怖い晴樹、4人の運命は?!
子どもたちに人気のスポーツをテーマにした童話シリーズ「スポーツのおはなし」。
オリンピックに採用されているスポーツについて、各一冊づつ、豪華執筆陣が描き下ろします。
小学低学年から中学年向けの創作童話です。
2019年11月から3ヶ月連続で刊行致します。
●シリーズ「スポーツのおはなし」の特色
・各児童文学賞受賞作家やベストセラー作家など、現代を代表する一流童話作家の書き下ろし。
・「物語の楽しさ」を第一に書かれた作品は、どの一冊をとっても、すぐれた童話作品として楽しむことができます。また、シリーズを通して読むことで、さまざまなスポーツの特徴や面白さ楽しさを学べます。
・ほぼすべての見開きに、実力ある画家によるイラストが入っていて、低学年から、ひとりで読めます。
・巻末に収録したコラムページで、各スポーツへの理解がさらに深まります。
・A5判、80ページ(一部カラー)。朝読にもぴったりのボリュームです。
ラインアップ予定
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