あれは 誰にも秘密 二人だけの 夢―― 豊饒な海―― 湘南を舞台に ある一族の 栄枯の美を描いた 石原文学の真骨頂 11年ぶりの文芸誌連載長篇小説 湘南に大邸宅を構え、 巨大企業グループを擁する北原家。 急逝した三代目の若き未亡人・紀子は、 二代目の非嫡出子・志郎と結ばれ、 その血脈を繋いでいる。 しかし、複雑に入り組んだ一族の関係に、 やがて変化の兆しがあらわれる――。
1932(昭和7)年神戸市生まれ。一橋大学卒業。55年、大学在学中に執筆した「太陽の季節」により第1回文學界新人賞を受賞しデビュー。翌年同作で芥川賞受賞。『亀裂』『完全な遊戯』『死の博物誌』『青春とはなんだ』『刃鋼』『日本零年』『化石の森』『光より速きわれら』『生還』『わが人生の時の時』『弟』『天才』『火の島』『私の海の地図』『凶獣』など著書多数。作家活動の一方、68年に参議院議員に当選し政界へ。後に衆議院に移り環境庁長官、運輸大臣などを歴任。95年に議員辞職し、99年から2012年まで東京都知事在任。14年に政界引退。15年、旭日大綬章受章。