【第一部】動乱の京都。親鸞は9歳で出家し、3年後に比叡山に入山した。が、長い修業ののち下山を決意し、法然の門下となる。数年後に師に認められ、「撰択本願念仏集」の書写を許されるが、貴族社会を巻き込んだ師の教えは、念仏禁制の裁きを受ける。法然は四国へ、親鸞は越後へ流罪に。ライバル・黒面法師との対決や、のちに結ばれる恵信との恋愛、河原で出会った無頼の者たちとの交わりなど、若き日の親鸞を描いた青春群像劇。
【第一部】動乱の京都で、下級官人の日野家に生まれた忠範は、伯父の家に引き取られて幼少期をすごす。鴨の河原では、河原房浄寛、法螺房弁才ら下々の者たちと交わる。九歳にして、慈円阿闍梨のもと白川房に入室、三年後には比叡山の横川に入山し、範宴と名乗って修行に励む。十年が過ぎる。慈円の指示で範宴は吉水へ向かい、法然上人の説法に接する。またそこで紫野という女性と会い、二人の人物との運命の出会いを果たす。さらに十年の修業ののち、範宴はついに山を降りることを決意、法然の門下となり綽空と名乗る。新たな生活のなかで、恵心と名を変えた紫野と再会し妻に迎える。それから数年にして、「選択本願念仏集」の書写を許されるまでに法然に認められ、善信の名をもらう。だが、貴族社会をも巻きこんだ法然の教えは、やがて念仏禁制の裁きを受け、師は土佐へ、善信は越後へ追放となる。恵信の故郷の地へ。出発に先立ち親鸞と名を改め、恵信をともない旅立った。
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