風見章はK新聞の若手名文記者。長期の欧州取材旅行を終えて、ナホトカ・横浜間の定期客船に乗船していた。船尾のバーでカウンター越しに、リーダという40過ぎの女と話すようになる。その歳には見えない美しさに惹かれる早見。航海の最後の晩、「アマチュア・コンサート」のステージで彼女が「星のバザール」というロシア民謡を歌うことを教わる。だがその前夜、戦争に翻弄された彼女の身の上を早見は偶然耳にするのだった。