鎧を着けて馬にまたがり、「サー」と呼ばれた戦士たち。平時は城に住み、騎馬試合と孤独な諸国遍歴に生涯を過ごす。本書は、中世騎士の登場から、十字軍での活躍、吟遊詩人と騎士道物語の誕生、宗教に支えられたテンプル騎士団、上級貴族にのしあがったウィリアム・マーシャルや、ブルターニュの英雄ベルトラン・デュ・ゲクランの生涯、さらに、『ドン・キホーテ』でパロディ化された騎士階級が、近代の中に朽ちていくまでを描く。
学術文庫ではすでに、『中世ヨーロッパの城の生活』(2005年刊)、『中世ヨーロッパの都市の生活』(2006年刊)、『中世ヨーロッパの農村の生活』(2008年刊)、『大聖堂・製鉄・水車』(2012年刊)、『中世ヨーロッパの家族』(2013年)が刊行されて好評を博している、ギースの「中世ヨーロッパシリーズ」の6冊目。本作では、中世ヨーロッパの軍事を担った「騎士」の実像に光をあてる。
世界の歴史上、さまざまな兵士が世界の戦場で戦ってきたが、活動期間の長さといい、歴史、社会、文化に及ぼした影響の大きさといい、中世ヨーロッパの騎士の右に出るものはない。「騎士」と聞いて思い浮かぶのは、鎧を着けて馬にまたがり、「サー」と呼ばれる戦士の姿だろう。平時は城に住み、野外の騎馬試合と孤独な諸国遍歴に生涯を過ごす――こんな通俗的なイメージは、歴史上に実在した騎士とまったくかけ離れているわけではない。そして重要なことに、彼らは強い連帯意識を持つ階級の一員でもあった。
本書では、中世騎士の登場から、十字軍での活躍、吟遊詩人とアーサー王物語に代表される騎士道物語の誕生、テンプル騎士団などの宗教騎士団、遍歴の騎士から上級貴族にのしあがったイングランドのウィリアム・マーシャルや、ブルターニュの英雄ベルトラン・デュ・ゲクランの生涯、さらに、衰退を迎えた騎士階級が、小説『ドン・キホーテ』に最後の一撃を加えられ、近代社会の中に朽ちていくまでを描く。
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