内容紹介
本書は、サブタイトルにある「対角線の科学」について、フランスの碩学カイヨワが論じたものです。対角線の科学とは、「既得の知識をいろいろな形で横方向に切断することによって、時として危険なまでに細分化してしまっている様々な探究分野の区分を補修する」という目的をもっています。
たとえば、蝶の翅、岩石の文様、絵画、神話になんらかの共通する構造を探り出そうとします。人間界と自然界の両方の現象の背後に潜む法則・原理を取り出しうるという方にカイヨワは賭けるのです。神話学、宗教学、社会学、人類学、動物学、鉱物学、数学、物理学などの広範な知見を統合し、「類推の極致」ともいうべき想像力の洞察に、正しさを求める営みとしての哲学を試みます。
目次
- 序
- 第一部
- 1 ラマルクの誤謬
- 2 循環的時間、直線的時間
- 第二部
- I 現前している想像の世界
- 1 火による浄化
- 2 美術館の神々
- 3 月からの石
- II 変化発展しつつある想像の世界
- 4 『フェードル』と神話学
- 5 空想科学小説
- 6 地獄の変容
- 7 記号の世界としてのシュルレアリスム
- 結論にかえて
- 詩への接近--アラン・ボスケへの手紙
- 原注・訳注
- 訳者あとがき