内容紹介
日本人は、はじめて差別に憤り、平等を希求した。本書は、忌まわしい日本ファシズムへとつながった〈昭和維新〉思想の起源を、明治の国家主義が帝国主義へと転じた時代の不安と疎外感のなかに見出す。いまや忘れられた渥美勝をはじめとして、高山樗牛、石川啄木、北一輝らの系譜をたどり、悲哀にみちた「維新者」の肖像を描く、著者、最後の書。(講談社学術文庫)
日本人は、はじめて差別に憤り、はじめて平等を求めた。
悲哀にみちた「昭和維新者」の肖像を描く著者、最後の書。
日本人は、はじめて差別に憤り平等を希求した。本書は、忌まわしい日本ファシズムへとつながった昭和維新思想の起源を、明治の国家主義が帝国主義へと転じた時代の不安と疎外感に見出す。いまや忘れられた渥美勝をはじめとして、高山樗牛、石川啄木、北一輝らの系譜をたどり、悲哀にみちた「維新者」の肖像を描いた、著者最後の書。(解説・鶴見俊輔)
朝日の遺書全体を貫いているものをもっとも簡明にいうならば、何故に本来平等に幸福を享有すべき人間(もしくは日本人)の間に、歴然たる差別があるのかというナイーヴな思想である。そして、こうした思想は、あえていうならば、明治期の人間にはほとんど理解しえないような新しい観念だったはずだというのが私の考えである。(……)私はもっとも広い意味での「昭和維新」というのは、そうした人間的幸福の探求上にあらわれた思想上の一変種であったというように考える。――<本書より>
※本書の原本は、1984年に朝日新聞社より刊行されました。文庫化にあたっては1993年に刊行された朝日選書版を底本とし、2007年に筑摩書房より刊行された、ちくま学芸文庫版を参照しました。
目次
- 序にかえて
- 一 渥美勝のこと
- 二 渥美の遺稿「阿呆吉」
- 三 「桃太郎主義」の意味
- 四 長谷川如是閑の観察
- 五 青年層の心理的転位
- 六 樗牛と啄木
- 七 明治青年の疎外感
- 八 戊申詔書
- 九 地方改良運動
- 十 田沢義鋪のこと
- 十一 平沼騏一郎と国本社
- 十二 日本的儒教の流れ
- 十三 癸亥詔書
- 十四 北一輝の天皇論
- 十五 国家社会主義の諸形態
- 解説 鶴見俊輔
製品情報
製品名 | 昭和維新試論 |
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著者名 | 著:橋川 文三 |
発売日 | 2013年09月11日 |
価格 | 定価 : 本体1,000円(税別) |
ISBN | 978-4-06-292193-0 |
通巻番号 | 2193 |
判型 | A6 |
ページ数 | 320ページ |
シリーズ | 講談社学術文庫 |
初出 | 原本は、1984年に朝日新聞社より刊行。文庫化にあたっては1993年に刊行された朝日選書版を底本とし、2007年に筑摩書房より刊行された、ちくま学芸文庫版を参照しながら、明らかな誤植と思われる箇所を正し、多少の注記とふりがなを加えた。 |