12世紀、ヨーロッパを席巻した冥界巡り譚「聖パトリキウスの煉獄」「トゥヌクダルスの幻視」を収録。2人の騎士は臨死体験を通して、異界を訪問する。無数の悪霊の襲来から始まり、灼熱、悪臭、寒冷、虫、蛇、猛獣が跋扈する煉獄で、執拗な拷問と懲罰を受けた後、甘美にして至福の天国を見学し、現世へと帰還する。中世人の死生観を熟読玩味する。
腹を食い破る蛇、悪霊たちの打擲、四肢を断ち切る処刑人、灼熱と悪臭……
想像を絶する責め苦と試練が待ち受ける西欧版地獄とは?
12世紀、ヨーロッパを席巻した冥界巡り譚「聖パトリキウスの煉獄」「トゥヌクダルスの幻視」を収録。2人の騎士は臨死体験を通して、異界を訪問する。無数の悪霊の襲来から始まり、灼熱、悪臭、寒冷、虫、蛇、猛獣が跋扈する煉獄で、執拗な拷問と懲罰を受けた後、甘美にして至福の天国を見学し、現世へと帰還する。中世人の死生観を熟読玩味する。
女子修道院長たる、尊敬すべきギゼラ殿へ、(略)修道士マルクスより。(略)自己の愚鈍を貴女に露呈しても恥と思わないことに致します。と申しますのも、≪聞き従うことは生贄に勝る≫からで、(略)賢き貴女が喜ばれるのは、アイルランド人トゥヌクダルスなる者の身に起きた不可思議を、いかに吾等の筆が無学であっても、野卑な言葉(俗語)からラテン語に翻訳し、入念な貴女のもとで転写されるべくお送りすることです。――<「トゥヌクダルスの幻視 序」より抜粋>
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