18世紀末にフランスに誕生した資本主義の祭典=展示会は、19~20世紀、各国の万国博覧会へと発展する。国家は「帝国」と「商品」をディスプレイし、博物学的まなざしは、日常生活領域へと浸透すると同時に、大衆の欲望=娯楽・見世物性を満足させる。博覧会という場が孕む微視的な権力の作用を明らかにし、スペクタクルの社会理論を提示する。
帝国主義のプロパガンダ装置
消費社会の広告装置
見世物としての娯楽装置
博覧会は大衆の欲望や感覚をどのように動員し、再編したのか?
18世紀末にフランスに誕生した資本主義の祭典=展示会は、19~20世紀、各国の万国博覧会へと発展する。国家は「帝国」と「商品」をディスプレイし、博物学的まなざしは、日常生活領域へと浸透すると同時に、大衆の欲望=娯楽・見世物性を満足させる。博覧会という場が孕む微視的な権力の作用を明らかにし、スペクタクルの社会理論を提示する。
(近代的な)まなざしの場は、(略)博覧会だけでなく、動物園や植物園、博物館や美術館、各種の展覧会や見本市、百貨店やショッピングモール、さらには無数の広告としていまもわれわれの日常に溢れている。(略)いまや必要なのは、万国博であれ、オリンピックであれ、(略)19世紀以降、現在までの文化変容を貫いてきたスペクタクル的な権力の展開を、この権力が作動する場を生き、ときにはこれを変形させてもいった人々との弁証法的な関係のなかで、より緻密に読み取っていくことである。――<「終章 博覧会と文化の政治学」より抜粋>
※本書の原本は、1992年中央公論社より刊行されました。
+ もっとみる