祝祭の中で人は神となる
折口三部作堂々の完結
『文芸論集』『天皇論集』に続く編者安藤礼二によるオリジナル編集折口信夫第三弾は『芸能論集』。折口による民俗学は芸能を根幹としており、その起原は、沖縄をはじめとした南の島々にあり、さらに信州などの山深い地で洗練され、能や歌舞伎、詩歌へとつながっていく――。日本の英知・折口信夫の三部作、ここに堂々の完結。
安藤礼二
マレビトという、折口信夫が創り上げた概念もまた、一年に一度、祝祭をもたらすために共同体を訪れる、神であるとともに人でもあるような存在を指す。一年で最も厳しい季節を迎え、世界がやせ衰え「死」に直面したとき、神であり人であるマレビトが訪れ、時間も空間も生まれ変わり、世界は豊饒な「生」を取り戻す。世界が死に、世界が再生される瞬間、激烈な力が発生し、解放される。――<「解説」より>
※本書は中央公論社刊『折口信夫全集』17、18、21、22、28、別巻1(1996年8月、1997年11月、1996年11月、12月、1997年6月、1999年1月)を底本としました。
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