牧野伸顕、河上徹太郎、中村光夫、石川淳、D・キーン、吉田茂……
生きる勇気を与えてくれる友達がいることの喜び――。
生きる勇気を与えてくれる、友達がいるということの喜び――生涯に出逢った友達のことを順番に綴る交遊録。幼少の頃から親しみ、尊敬してやまなかった祖父・牧野伸顕、ケンブリッジ留学時代の恩師・ディッキンソンとルカス、文学の師・河上徹太郎はじめ、中村光夫、横光利一、福原麟太郎、石川淳、D・キーンら文士達、そして父・吉田茂。時間の流れの中で、成熟してゆく友情を見事に描いた名エッセイ。
池内 紀
吉田健一の『交遊録』は日本語で書かれた人物エッセイのなかで、とびきり個性的で、そしてもっとも優れたものだろう。あとにも先にもこれに並ぶものが二度とあらわれるとは思えない。一つには書き手の条件とかかわっていて、当然のことながら、資質、才能、人物を見る眼が必要である。いま一つには――こちらがより大きな理由だが――書かれる側の条件と関係していて、一人の人間が生涯に、これだけ書くに値する人物と出くわすなど、まずありえないことだろうからだ。――<「解説」より>
※本書は、1993年6月新潮社刊『吉田健一集成3』を底本としました。
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