第三の新人と伴走した悲劇の批評家の精選評論集
「第三の新人」が文壇に登場し、注目を浴びていた時、彼らと歩を合わせるかのように、ひとりの新しき批評家が誕生する。それまでのマルクス主義的批評でもなく、また作家の生理によりかかる作家論的アプローチでもなく、作品それ自体の内部に<美>を見出す審美的批評を提唱し、その原理を探究する途に赴くも、中絶。新世代批評家として嘱望されながらも、33歳で自死した服部達の代表的作品を精選。
勝又浩
33歳の彼が、自分の32歳のときの文章を指して「若気の至り」だと言っている。思うに、この頃、文芸評論を書き始めた服部達はこんなふうに、まるで竹の子が育つように急成長していたのだ。竹は芽の出たその年の内に一生分の成長を果たしてしまうが、彼のあまりにも早すぎた死を思うとき、私はそんなイメージを思い浮かべずにはいられない。批評家としての服部達は、そんな軌跡を見せている。ずば抜けた秀才の悲劇ではなかったろうか。――<「解説」より>
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