内容紹介
坂の上の角の煙草屋まで行くのも旅だと考え、自分の住んでいる都会の中を動くことに、旅の意味を見出す表題作。小説作品のモチーフになった色彩体験を原風景に遡って検証する「石膏色と赤」ほか、心に残る幼年時代の思い出、交遊、文学観、なにげない日常の暮らしや社会への思いなど、犀利な感性と豊かな想像力を通して綴る「人生の達人」の珠玉のエッセイ選。吉行文学の創造の秘密が詰まった47篇。
豊潤な感性と犀利な筆致が彩なす人生の味わい
坂の上の角の煙草屋まで行くのも旅だと考え、自分の住んでいる都会の中を動くことに、旅の意味を見出す表題作。小説作品のモチーフになった色彩体験を原風景に遡って検証する「石膏色と赤」ほか、心に残る幼年時代の思い出、交遊、文学観、なにげない日常の暮らしや社会への思いなど、犀利な感性と豊かな想像力を通して綴る「人生の達人」の珠玉のエッセイ選。吉行文学の創造の秘密が詰まった47篇。
久米勲
吉行さんの随筆を読む場合は、文章そのものが持っている香気をそのまま受けとり、ああ、佳い文章とはこういうものだったんだと、酔ってくれればいい。それが、小説を読むときとの違いであり、その違いをたのしむのが、読む人を豊かにしてくれるうれしさだと、いつも吉行随筆に触れるたびに感じている。――<「解説」より>
目次
- I
- 言葉と表情
- 戦中少数派の発言
- 安岡章太郎の作品
- 恩師岡田先生のこと
- 「復讐」のために
- 「ブンガク人間」小島信夫
- 内田百間氏のこと
- クレーをめぐる気儘な小文
- II
- パチンコ雑話
- 新戯作派についての独断と偏見
- 外国の歩道で
- 葡萄酒とみそ汁
- 三島事件当日の午後
- 夢を見る技術
- 松葉杖の花売娘
- テリエ館
- 児玉隆也との最後の日曜日
- 「陰翳礼讃」を読む
- 「狂才」筒井康隆
- 石膏色と赤
- 追悼・舟橋聖一
- 眼の変化
- 葉書の書留
- 高峰秀子さんの手相
- III
- 長部日出雄の乱れ酒
- 白色嫌厭症
- 「瘋癲老人日記」を読む
- 眼鏡屋へ
- 滝
製品情報
製品名 | 街角の煙草屋までの旅 吉行淳之介エッセイ選 |
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著者名 | 著:吉行 淳之介 |
発売日 | 2009年06月12日 |
価格 | 定価 : 本体1,400円(税別) |
ISBN | 978-4-06-290053-9 |
判型 | A6 |
ページ数 | 288ページ |
シリーズ | 講談社文芸文庫 |
初出 | 新潮社刊「吉行淳之介全集」第12巻、第13巻、第14巻(1998年9月、10月、11月)を底本として、多少ふりがなを加え、明らかな誤植と思われる箇所は正したが、原則として底本に従った。 |