個性光る魅惑的な言葉のセッション
強烈な個性と独自の作風を誇る、2人の代表的女性作家、宇野千代と中里恒子の間で交わされた80通の書簡。1974年12月より翌年10月までの長きにわたり、2人は互いの作品評から文学論、さらには生活スタイルの細部まで語り合い、発表当時、大きな評判を呼ぶこととなった。ひかえめな筆致の背後にある、2つの個性のお互いに譲らぬスリリングな対話から、女性と文学の真髄を知る貴重な一書。
金井景子
65歳と77歳の2人の女性作家の語りの中には、弱さも強さも優しさも、山姥が妖術を繰り出すがごとく変幻自在に現われては消え、読む者を翻弄する。どちらかがボケでどちらかがツッコミという役割の固定化もない。巧みに誘い水を向け、相手の「キャラ」を崩してはまた再構築するさまは、数ある往復書簡の中でもちょっと他の追随を許さない面白さである。――<「解説」より>
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