最先端の生命科学が扱う「生命」と、日常生活の中で思う「いのち」は、同じもの。科学の進歩がめざましい現在だからこそ、そのふたつをつないで語る必要があるのではないか? では、どのように語ることが可能か? 生物学者でありバイオアート作家である著者が、5つのアプローチで論じる。刺激的な生命論。
最先端の生命科学が扱う自然科学の「生命」と、日常生活の中で我々が思う「いのち」、あるいは人文科学において探究されてきた「生命」。
細胞を人工的につくることが可能になりつつある現在だからこそ、これらを同じ地平で語る必要があるのではないでしょうか? では、どのように語りうるのでしょうか?
著者の岩崎氏は、「生命がリズムやパターンを生じるメカニズム」を研究する生物学者であり、同時にバイオメディアや切り絵を用いた造形作家としても活躍しています。その活動の中ではぐくんだ問題意識から、本書では、生命科学がどのように私たちの生命観と関わっているのか、生命科学自体が生命へのどのようなまなざしを内包しているのか、「生命を理解する」とか「生命について考える」とはどういうことなのかを考えます。
その手がかりとして、「生命そのもの、もしくは生命の何らかの側面をつくる(再構築する・模倣する)」ことに着目し、「つくりながら理解する」合成生物学、その源流となる先達の研究者たちの構想、生命美学と呼ばれる試み、生命をめぐる現代芸術・アートなど、さまざまなアプローチから論じていく、越境する生命論です。
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