帝都万華鏡　たゆたう光の涯に

10年前よりも、昨日よりも、今が恋しい――
桜のもとで出逢って、いくつもの時を積み重ねた。羨望も憧憬も溶け合った青い春 かれはいつも、傍にいた。
胸苦しい愛おしさは、どこに辿りつくのか。濃艶なる大正浪漫シリーズ、いよいよ大団円！

三十路に入り、編集者として多忙な日々を送る高市京介と、詩人としての地位を得つつある石木琢馬。しかし琢馬は、まだ誰にも告げられぬ事実を胸に秘めていた。変わらないはずの世界が、すこしずつ歪んでいく――不安を抱える琢馬の前に突然現れた京介の後輩、美作（みまさか）重三郎。美作の挑むような視線に琢馬は心惑わされる。そして、予想だにしない事件が彼らを襲う。濃艶なる大正浪漫シリーズ、いよいよ最終章！