わたし、糸川たんぽぽ。うちは代々続く仕立屋さんで、わたしも小さいころからママに裁縫を教えてもらってきました。ずいぶんうまくはなってきたけど、まだまだ見習い職人というにはほど遠い。はやく一人前になれるようにがんばらなくっちゃ、と思っていたある日、両親とおじいちゃんから、「おまえには糸川家の祖先、〈魔法使いファベル〉の血が流れている」と告げられました。
魔法使い!? ファベル!? とおどろくわたしに、3人はまじめな顔で糸川家の秘密を話しはじめました。
聞けば、ファベルとは大昔に魔法王国からこの世界にやってきた魔法使いの職人集団で、糸川家はその血筋を引いているとのこと。最近になって、わたしに魔法を使える才能があることがわかったこと。
だから、5年生から魔法職人の養成学校〈ファベル学園〉に転校して、きちんとした教育を受けるべきだ、と。
たんぽぽ10歳の春。フワフワと生きていくはずだったのに、思わぬ嵐にあって刺激たっぷりの生活がはじまるのでした--。
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