実体を持たずにこの世に生まれた不具合――バグ。生まれた時から俺にはそいつらが見えた。「見える」人間は珍しいらしく、奴らはなにかと俺に構う。ある夜、アスファルトからドゥルンと現れたのはサリー。オネエ口調のやたら馴れ馴れしいそいつは、俺に助けを求める声が聞こえるのだと言い出して――。講談社BOXの新時代新人賞、BOX-AiR新人賞の第二期受賞作刊行スタート!!
30手前でフリーランスの配管工として独立し、埼玉に小さなマンションを買った。華も金もない人生ではあるが不自由はない、ありふれた独身男の俺は人よりも少しばかり“目がいい”。肉体を持たずに生まれ落ちたこの世の不具合、バグと呼ばれる魑魅魍魎を見ることができる。
ある月の夜に俺は、アスファルトからドゥルンと立ち上がる美形のにーちゃんと出会う。アスファルトの精だというその男、サリーはやたら馴れ馴れしい女言葉で俺に絡む。
「ねぇん、いつになったらチューしていいのん?」
その日から俺の周りはにわかにバグで賑やかになる。男色吸血鬼、半裸の少年、セミの亡霊に空飛ぶ鯨――騒乱の影で、平穏が静かに食い荒らされているとも知らず!
講談社BOXの新時代新人賞、BOX-AiR新人賞の第二期受賞作刊行スタート。
第11回BOX-AiR新人賞受賞作は、少し不思議なハイウェイ・アクション!
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