この子に、なにかしてあげたい。
この子の、悲しむ顔は見たくない。
講談社BOXが贈る“青春ライトノベル”の新旗手、颯爽たる最新長篇
二十代も終盤にさしかかりつつある会社員ウミノの一日は、通勤途中にある昔ながらのタバコ屋で幕を開ける。ハイライトを一箱買い、店の前で一服。その窓口にあらわれる店番の少女、如月さなえとのやりとりをささやかな楽しみにしていた。
ある日、ウミノはタバコ屋の矍鑠たる老店主、如月志乃が亡くなったことを知る。しばらくの間休業していた店が再開すると、そこには他界した祖母がのりうつったかのような威勢のいい口調と仕草で話す、見慣れた少女がいた。ウミノが“シノちゃん”と名付けたその少女は、彼にある頼み事を持ちかけてくる。
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