「お兄ちゃん、私たちどうしたら小説の外へ出られるの?」 小説を書く行為を照らし出して、『アサッテの人』と対をなす長編 骨髄癌におかされて長期入院中の妹の病室内で繰り広げられる、他愛なくも切ない会話。実の兄妹ではないながらも深い絆で結びついた2人のやりとりが同じ病室の女性患者によって書かれた物語であったなら……。作者自身をも巻き込む小説の作為に抗うための、芥川賞受賞作『アサッテの人』と対をなす長編。