過去と向き合うとき封じた想いが溢れだす 旅館の跡取りと下働きの息子。境遇の違いから少年時代に抱いた殺意を負い目に、想いを寄せた遥子も伸介に譲り生きてきた相楽。遥子の死、伸介の失踪後も、娘の樹里を支え借金を肩代わりした。遥子の命日、樹里のピアノの余韻の中で明かされる苦い真実――表題作ほか人生の哀感を織り込んだ名手の作品集。