古くは、劇映画から大衆は幕末維新史を「知った」。現代ならばNHK大河ドラマの幕末維新モノと司馬遼太郎が著した幕末小説群であろう。この二本柱によって、いまの日本国民は幕末維新史を「知っている」。だから大衆が抱いてきた「幕末維新像」を知ろうと思えば、こうした娯楽性の強い作品が、どのようにこの時代を描いて来たかを追わねばならない。
坂本龍馬、新選組が日本人に愛された軌跡
映画とドラマにまさる先生なし
月形半平太、鞍馬天狗、沖田総司ら「研究史」には登場しない「維新の英雄」に託した大衆の夢
古くは、劇映画から大衆は幕末維新史を「知った」。現代ならばNHK大河ドラマの幕末維新モノと司馬遼太郎が著した幕末小説群であろう。この二本柱によって、いまの日本国民は幕末維新史を「知っている」。だから大衆が抱いてきた「幕末維新像」を知ろうと思えば、こうした娯楽性の強い作品が、どのようにこの時代を描いて来たかを追わねばならない。学界における幕末維新観の変遷については「研究史」という形で、すぐれた論考がいくつも発表されている。下からの「維新」だったのか、上からの「維新」だったのかといった問題が、盛んに議論されたりした。しかしそれらは、必ずしも大衆が持つ幕末維新像や問題点とは重ならない。なぜなら「研究史」には「月形半平太」も「鞍馬天狗」も、あるいは「沖田総司」も登場しないからだ。
●天誅組の芝居が連日満員
●ご存知、月形半平太の登場
●『大菩薩峠』の机龍之助
●自由と平等を求めて戦う龍馬像
●雷蔵の『新選組始末記』
●空前の沖田総司ブームにのって
●『幕末太陽伝』の志士は太陽族?
●大河ドラマの第1作『花の生涯』
●『獅子の時代』の失敗
●ATG製作の問題作『竜馬暗殺』
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