地下世界の妖しい輝き!芥川賞受賞作品。 トンネルの闇と駅の光が都市生活者の貌(かお)を照し出す。現代の深層を官能的に描く。 時刻ヨーシ、方向切替ヨーシ、発車。電車はスピードを急速に上げ、間もなく軌道が緩やかに下り始め、徐々に傾斜がきつくなっていく。傾斜角1000分の35。都市と都市生活者の様々な貌(かお)をトンネルの闇と駅の輝きが怪しく繋ぐ。カミソリのように光る2本のレールの上に現代を官能的に描く。第107回芥川賞受賞。