内容紹介
動物もコミュニケーションを行うが、物語を語れるのは人間だけである。「物語」とは、人間の言語活動に特徴的かつ本質的なものである。では、ここでいう「物語」とはいったい何か――。フランス構造主義の物語論を中心に、その理論を紹介しつつ、カフカ、田山花袋、マルケスから、「シン・ゴジラ」「エヴァンゲリオン」「この世界の片隅に」まで、具体的なテクストを分析し、物語そのものの構造を論じ、設計図を明らかにしていく。
私たちは常に、物語に囲まれて生きている。小説や漫画などのフィクションが「物語」なのはもちろん、著者によれば、スポーツ中継や日々のニュース、歴史叙述も「物語」だという。では、ここでいう「物語」とは何か。どういう性質をもつものなのか――。これを論じてきた理論が物語論(ナラトロジー)である。
動物もコミュニケーションを行えるが、物語を語れるのは人間だけである。その意味では、物語とは、人間の言語活動に特徴的かつ本質的なものである。しかし、「物語」というと、これまでは往々にして、作者の意図や作品の社会的背景、歴史的意味の解釈にのみ、力点がおかれていた。本書でいう「物語論」はそうではなく、言語学や文体論を用いながら、物語そのものの構造を論じ、設計図を分析していく。
第一部では、フランス構造主義の物語論を中心に、その理論を紹介し、第二部では、カフカ、田山花袋、ボルヘスから、「シン・ゴジラ」「エヴァンゲリオン」「この世界の片隅に」まで、具体的なテクストを分析し、私たちの現実認識が、物語の仕方によっていることを明らかにしていく。
目次
- はじめに――「物語論」とは何を論じるのか
- 第一章 「物語」の形態学
- 第二章 物語に流れる「時間」
- 第三章 視点と語り手
- 第四章 日本語の言語習慣
- 第五章 ノンフィクションは「物語」か
- 第六章 物語論への批判
- 第七章 「おもしろい展開」の法則
- 第八章 叙述のスピードと文体
- 第九章 登場人物の内と外
- 第十章 さまざまな語りの構造
- 第十一章 「物語」のこれから
- おわりに――人間だけが物語る
製品情報
製品名 | 物語論 基礎と応用 |
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著者名 | 著:橋本 陽介 |
発売日 | 2017年04月11日 |
価格 | 定価:2,035円(本体1,850円) |
ISBN | 978-4-06-258650-4 |
通巻番号 | 647 |
判型 | 四六 |
ページ数 | 272ページ |
シリーズ | 講談社選書メチエ |