保元の乱から鎌倉幕府成立にかけて、つねに適役であった〈偉大なる暗闇〉。はたして、後白河は権謀術数のかぎりをつくした〈日本一の大天狗〉だったのだろうか。本書は、文化創造の場や、精神史の暗部にまでわけいり、現実の向こうにこの政治的巨人が透視していた可能性を鋭く指摘する。王権の転換・再生を軸に、東アジアの知的交流にまで眼くばりした力作論文集。