僕が僕であるために。 フェールンの少年時計職人・アルトリッツ。またの名を、皇帝陛下の命の職人。 その日、自由都市フェールンの市庁舎に、謎のような御触れ書きが出た。『皇帝の心臓は機械、心は歌、体は城。医師には叶わぬ御病を直す、腕に覚えある職人を求む』意味は不明ながらも、大望抱く少年時計職人のアルトリッツは帝都行きを決心。異能の宮廷建築士カロディノの眼にかない、歌姫リザメアと共に皇帝陛下の職人となる。アル自身の大きな秘密が魔の手となって、身近に迫っていることを知る由もなく――。