あなたは、今、一人の、稀に見る作家の誕生に立ち会っている!
川又千秋氏(ホワイトハート大賞選考委員)激賞!
『扉の書』――それを読み解いた者は、永久に老いない肉体と、この世の記憶を失うことなく後の世へも更なる次の世へも自在に行ける。だが、700年前盗み出されてからこれまで、解読はおろか、その留め金さえもびくともしたことがないのだ。現在の所有者・老魔術師キルムスが途方に暮れる中、彼の元へ若い女が訪ねてきた。「わたしと取引を」。謎解きの鍵を持ってきたと言うエリル。読めぬ文字、閉じた扉を巡る2人の怒濤の冒険が始まる!
『扉の書』は、魔法の物語である。物語の魔法であり、言葉の魔法である。
言うまでもなく、この世界は、文字と文章によって紡がれている。文字と文章でしか紡ぎ得ない世界である。冒頭に描かれる、ユルト山の荒涼たる風景……廃城に住まう孤高の魔術師キルムス……彼の手中にあってあくまで解読を拒む幻の書物……すべてが、実は、文字と文章の連続でしかない。にもかかわらず、ここに魔法がかけられている。
書き綴られている文字と文章を辿りはじめれば、すぐ、あなたは気付くはずだ。あなたは、いつの間にか、この世界の中にいる。あり得ざる世界の中で、あり得ざる空気を呼吸し、あり得ざる地図上を旅しながら、あり得ざる冒険に参加している。そんな、あり得ざる夢想に囚われている自分を、驚きとともに発見するだろう。
そう! あなたは、今、1人の、稀に見る作家の誕生に立ち会っているのだ。――(川又千秋)
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