もう1度、しつけ直してくれる?優しくしないのは、おまえとの約束だ。 バーテンダーの仕事を根気よく続けていた成見(なるみ)の前に、兄・英彰が現れた。「おまえが必要なんだ」英彰は、かつて仁科(にしな)が口にしてくれた、成見が一番好きな、一番欲しかった言葉を繰り返す。肉親の愛に恵まれなかった成見は、初めてその温もりに接して──。自分を拾った仁科に所有されなくなった今、成見は次の飼い主を探さなくてはならなかった。「俺を……兄さんのものにしてよ……」