内容紹介
「静かな夜には口笛を吹きたくなる奴がいるものです。口笛が聴こえる夜は、もうすでにいつもの夜とは違いますからね」 四国と淡路島の境目にある〈恋路ヶ島サービスエリア〉の売り子になると、一年以内にプロポーズされるという伝説がある。その伝説を信じるでもなく信じている理代子は、ある夜事件に巻き込まれていく。人生の小休止=サービスエリアに集まった“獣”たちが繰り広げるポップでちょっとシリアスな長編ミステリ。
「静かな夜には口笛を吹きたくなる奴がいるものです。口笛が聴こえる夜は、もうすでにいつもの夜とは違いますからね」
四国と淡路島の境目にある〈恋路ヶ島サービスエリア〉。このサービスエリアの売り子になると、一年以内に恋人からプロポーズされるという伝説がある。そんな伝説を信じるでもなく信じている恋路ヶ島出身の理代子は、自宅アパートとバイト先のサービスエリアを往復する平凡な日常を送っていた。ある夜、謎の新入り清掃士マキノの「静かな夜です。気をつけて」という一言から、理代子は事件に巻き込まれていく。 死体を運ぶ兄弟、有名司会者と愛人、人類嫌悪団体〈ノア〉……。人生の小休止=サービスエリアに、その夜集まった“獣”たちが繰り広げるポップでちょっとシリアスな、長編ミステリ。
目次
- 第一章 午前一時。恋人に浮気された小山内理代子の日常は唐突に終わり、逸脱を始める。
- マキノによる断章 その一
- 第二章 午前一時三十分。俊太郎は、青いドレスの女を遺棄する道中、思わぬ血の問題に悩まされる。
- 第三章 午前二時。加納リナに関わる男たちは次々と姿を消してしまう。煙草の煙が消える頃、楽しい時間がやってくる。
- 第四章 午前三時十五分。血痕を辿り、理代子とマキノはパトロールを始める。
- マキノによる断章 その二
- 第五章 午前三時五十分。トランクの死体は見つからない。俊二の狂気は暴走し、俊太郎は過去を振り返る。
- 第六章 午前四時。リナは海の風に吹かれ、ゴミ置き場から死体を担ぎ彷徨い歩く。
- 第七章 午前四時十分。死体は少しだけ移動している。捜査を開始した警官は、思いがけないことを理代子に尋ねる。
- マキノによる断章 その三
- 第八章 午前四時十一分。決別の瞬間は突然に訪れる。弾丸が飛び立つ時、首の長い獣が現れ、思わぬ一蹴りが夜の流れを変える。
- 【間奏】時間は戻って午前一時三十五分。美野浩太を襲う突然の尿意は彼を二度と戻れぬ闇へと誘っている。
- 第九章 午前四時十五分。リナは幻想を放棄する。獣たちのいる現実のために。
- 第十章 午前四時十五分以降。サービスエリアは獣たちで溢れ、動き出した観覧車は神話的風景となる。
- マキノによる断章 その四
- 最終章 夜の終わる頃、理代子は一つの決断を下す。それは伝説の終わりであり、また別の伝説の始まりでもある。
製品情報
製品名 | 恋路ヶ島サービスエリアとその夜の獣たち |
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著者名 | 著:森 晶麿 |
発売日 | 2015年01月21日 |
価格 | 定価 : 本体1,400円(税別) |
ISBN | 978-4-06-219332-0 |
判型 | 四六変型 |
ページ数 | 258ページ |