内容紹介
老人は峠に立つ墓標に語りかけた。「──真実は、その時代の権力者の思うがままに捏造されてしまいます。後の世の人々は、あたかもそれを事実と信じてしまい、まことに悔しい限りです。御台さまのことも希代の悪女と申す不心得者が出る始末で、何とも腹立たしくてなりませぬ」老人の名は喬之介。日野富子の幼なじみにして、信念に向かってまっすぐに歩んだ彼女の生涯を最後まで見守り続けた侍者だった──。
老人は峠に立つ墓標に語りかけた。
「──真実は、その時代の権力者の思うがままに捏造されてしまいます。後の世の人々は、あたかもそれを事実と信じてしまい、まことに悔しい限りです。御台さまのことも希代の悪女と申す不心得者が出る始末で、何とも腹立たしくてなりませぬ」
老人の名は喬之介。日野富子の幼なじみにして、信念に向かってまっすぐに歩んだ彼女の生涯を最後まで見守り続けた侍者だった。喬之介は、ひとりの女人を秘かに愛し抜いたことを誇りに思っていた。
まだ伊作と呼ばれていた少年のころの、富子といっしょにいた日野の里での日々に、喬之介は思いを馳せた。「秘恋」の物語が始まった──。
目次
- 序章
- 一章 日野の里
- 二章 花の御所
- 三章 御台所さま
- 四章 応仁の乱
- 五章 愛憎
- 六章 母と子
- 七章 野分
製品情報
製品名 | 秘恋 日野富子異聞 |
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著者名 | 著:鳥越 碧 |
発売日 | 2014年12月18日 |
価格 | 定価:1,980円(本体1,800円) |
ISBN | 978-4-06-219294-1 |
判型 | 四六変型 |
ページ数 | 362ページ |