慎司と耀子、徳史と芙祐子。二組の夫婦はヴェニスにやってきた。翡翠色の海に囲まれ強烈な日差しが降り注ぐ色艶やかな街で、観光スポットをめぐりレストランで憩う四人。旅の終盤、芙祐子の失踪という小さなアクシデントが、それぞれの関係のきしみをあぶりだす。
1983年生まれ。筑波大学図書館情報専門群卒業。旅行会社勤務を経て、2005年「窓の灯」で文藝賞受賞、デビュー。07年「ひとり日和」で第136回芥川賞受賞。09年「かけら」で川端康成文学賞を最年少受賞。著書に『わたしの彼氏』『あかりの湖畔』『花嫁』『すみれ』など。