内容紹介
文学史そのものを小説にする「日本文学盛衰史」の次なるテーマは「戦後文学」。誰にも読まれなくなった難物を、ロックンロールやパンク、ラップにのせ、ブログやtwitter、YouTubeまで使って揉みほぐす。そんなある日、タカハシさんは「戦災」に遭う……。
「文学なんてもうありませんよ」
文学史そのものを小説にする「日本文学盛衰史」の次なるテーマは「戦後文学」。誰にも読まれなくなった難物を、ロックンロールやパンク、ラップにのせ、ブログやtwitter、YouTubeまで使って揉みほぐす。そんなある日、タカハシさんは「戦災」に遭う……。
オオオカ きみは死んだ。ぼくも死んだ。幸いなことに、ぼくもきみも全集は出版された。けれど、いまや、ぼくたちの読者も少ない。というか、文学そのものが風前の灯だ。
コバヤシ わかった。テレビに駆逐されたんだろう。待てよ、マンガかな。SF……ミステリー……あと、何があったっけ。
オオオカ 違うんだ、こばやし。パソコンと携帯電話だよ、文学を滅ぼそうとしているのは。
コバヤシ わけがわからん。ぱそこんに電話? それと文学にどんな関係があるの。
オオオカ アップルがマッキントッシュを発売したのが、きみが亡くなった翌年だものね。きみに理解できないのも無理はない。だが、そんな説明をする必要はあるまい。こばやし。
コバヤシ なに?
オオオカ もう、本は売れんぞ。
――「twitter上にて・続」より
©Genichiro Takahashi
製品情報
製品名 | 今夜はひとりぼっちかい? 日本文学盛衰史 戦後文学篇 |
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著者名 | 著:高橋 源一郎 |
発売日 | 2018年08月23日 |
価格 | 定価 : 本体2,000円(税別) |
ISBN | 978-4-06-218011-5 |
判型 | 四六変型 |
ページ数 | 370ページ |
初出 | 「日本文学盛衰史 戦後文学篇」…「群像」2009年10月号~2012年6月号(2010年7月号、10月号、2011年2月号、8月号~12月号、2012年1月号は休載)、「なんでも政治的に受けとればいいというわけではない」…「日本2.0 思想地図β vol.3」(2012年7月刊)。 |