坂本龍馬が真に目指したものは何か? それは仏教の教えを根本に置いた政治の近代化だった。平田派復古神道を利用し強権的に推進された明治維新。その後は歪な近代化の道を突き進み、第二次大戦で完敗。現代日本人は誇りを持てず、経済的な豊かさしか信じることができない。龍馬の思想の真髄は仏教改革者・長松清風により同時代に深く理解されていた。龍馬と清風の交わる場所に混迷の時代を克服する鍵があると著者は説く。
慶応三年(1867)末、坂本龍馬暗殺。志半ばで斃れたことで、海援隊の活動を通じて龍馬が実現しようとしたことのもっとも重要なことが忘れ去られた。龍馬は仏教の教えを根本に置いて政治の近代化を進めようとしていたのだ。
明治維新は平田篤胤が唱えた復古神道を利用し強権的に推進されるが、日露戦争時には尊皇の英雄として都合良く龍馬ブームが起きるなど、現在に至るまで龍馬は誤解されている。
維新直後、海援隊の公式文書中もっとも重要な『閑愁録』に賛嘆し、書き写した一人の仏教改革者がいた。その名を長松清風という。
清風が現代に伝えた『閑愁録』を読むことで、龍馬が目指した国家像は真に平等で平和を志向したスケールの大きなものだったとわかる。
また、龍馬を真に評価した清風の仏教徒としての生涯も、今に生きるわれわれにとり示唆に満ちている。
明治以来歪められた近代化の道を突き進んだ結果、第二次大戦で完膚無きまでに敗れてしまう。現代日本人は経済的な豊かさしか信じられない有様だ。
このような精神の貧困を克服するのに、仏教の教えが有効なのではないだろうかと、清風の五代後の子孫である著者は問う。
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