「りっぱな兵士であるための9か条」をかたくなに守る青年、カスパールが主人公。彼は軍の任命で、風車小屋の見張りにつきます。しかしそれは、山の上に建つ、ただのおんぼろ小屋。やってくる者といえば、牛をつれた一人の老人と、小さなネズミくらいです。生真面目に任務を遂行しようとするカスパールと、ちょっかいを出してくる老人のユーモラスなやりとりにひかれて読み進むうちに、戦争のむなしさも伝わってくる傑作です。
いつでも優秀な兵士でありたいと、軍隊に忠誠を誓う、クリエグの町の青年カスパール。「りっぱな兵士であるための9か条」が書かれたメモを肌身離さず持ち歩いていた。
カスパールに言いわたされた任務は、「風の山」の頂上にある風車小屋の監視。彼は質問ひとつすることなく、ただちに任地に向かった。
それは小さなみすぼらしい小屋で、敵の気配などなく、毎日のようにやって来る者といえば、雌牛の「ももちゃん」と、飼い主であるしわだらけのおじいさん、そしてつまみ食いのためにやってくる1匹の小ネズミくらい。それでも、カスパールは生真面目に任務を遂行しようとする。
クリエグの町に、いよいよ敵が攻めこんできた。おじいさんは、自分も戦いに参加すると言って山を降りていく。それでもカスパールは、風車小屋を忠実に見張りつづける。残されたももちゃんの世話にも、すっかり慣れてしまった。
ふたたび山に戻ってきたおじいさんだが、あるとき、姿を見せなくなってしまった。
カスパールは、初めて命令を破り、小屋の見張りから離れ、老人の家を訪ねることにした……。
イタリアの新しい児童文学作品です。
生真面目に任務を遂行しようとするカスパールと、ちょっかいを出してくる老人のユーモラスなやりとり。それにひかれて読み進むうち、同時に戦争のむなしさも伝わってくる傑作です。
イラストはユーモア絵本の新星、シゲタサヤカ氏。これまでにあまりなかったタイプの、戦争をテーマにした児童文学です。
※小学5年生以上の漢字にルビ付
+ もっとみる