雪に閉ざされた3ヵ月。女の謎、老人の秘密。 軽井沢、パリ、北京――ごくありふれた男に、冒険の時が訪れた。 著者渾身、12年ぶりの書下ろし 元ホテルマンの私は、父の遺産である軽井沢の別荘に移り住んだ。向かいには、高村光雲の彫刻作品から私が<老猿>と名付けた、変わった老人が住んでいた。もう一軒、向かいの豪華な別荘の持ち主が、ある日、中国人女・春恋(チェンリャン)を連れてやってきた。そして、奇妙な人間関係が絡み合い、冬から春へと季節が移っていく――。 講談社創業100周年記念出版