あなたは知っていますか?
盲導犬が交通事故にあっても、「物」として扱われることを――。
病気で視力を失い、60代半ばで盲導犬サフィーのユーザーとなった熊澤尚さんにとって、
サフィーは自慢のパートナーであり、生きる楽しさを教えてくれる存在だった。
このままずっと幸せな日々が続くと思っていた矢先、悲劇は起きる。
自宅近くの交差点でトラックにはねられ、サフィーはこの世を去ってしまう。熊澤さんは全治2ヵ月の重傷を負ったが、命は取りとめた。
この日から、熊澤さんの人生は一転してしまった。
家族の、つらく悲しい嘘に隠されていた、サフィーの死。
入院先の病室でその真実を知った熊澤さんは、
残されたサフィーの首輪とリードを握り締め、ただ泣き暮らす毎日を送る。
そしてそんな熊澤さんに、さらなるつらい現実が突きつけられる。
それは、「盲導犬は、車いすや杖と同類とみなす」という言葉だった。
はたして盲導犬は、本当に「物」でしかないのか?
この非情な言葉に、サフィーを盲導犬として育てた中部盲導犬協会は、
国内でも類のない、民事訴訟を起こす決意をする。
それは、サフィーの「命の価値」を、
盲導犬の存在価値を、社会に問う戦いだった――。
この世を去ってもなお、人々を不思議な縁で結びつけたサフィーと、
そんなサフィーを心から愛した熊澤さんとの美しい日々を綴る、
愛と勇気の感動ノンフィクション。
プロローグ
第1章 子犬の名は、サフィー
第2章 盲導犬を目指して
第3章 盲導犬サフィーの誕生
第4章 すばらしきパートナー
第5章 別れの朝、悲しみの始まり
第6章 命の価値をめぐる戦い
第7章 サフィーへ贈る歌
エピローグ ~サフィーへの誓い~
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