美名子は母と、父の話をしない。あるとき、そう決めたから。
ひとりの女性の心を、その孤独と成長を精緻に描く「絆の物語」。
もの心ついたときに、父はいなかった。それは寂しいことではなかった――。
美名子と母のあいだにある、ふれられない空白。そこには、いつも「不在の父」がいた。現代を生きるひとりの女性の姿を、思春期から40代までの心の軌跡をとおし語る6篇の物語。とまどいながら、その先に見つかる心の本当のかたちを、美しい文章と丁寧な心理描写で描き出した「絆の物語」。
著者の新境地を開く、感動の連作短篇小説集。
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