名器の本質が、一目瞭然。……福田和也
4000万画素の最新鋭デジタルカメラと 最高精度の印刷技術で 最高峰のやきものに迫る
曜変天目[国宝]、伊賀「破袋」[重文]、鼠志野「峯紅葉」[重文]、野々村仁清・色絵芥子文茶壺[重文]、ほか、全23点を収録。
やきものがわかるコラムと解説も掲載。
<推薦の辞>
●十四代今泉今右衛門(陶芸家、国の重要無形文化財保持団体<色鍋島今右衛門技術保存会>会長)
「やはりそうだったか」と、日頃の疑問が解け、同時に1つの秘訣を知りました。「昔は技術が高い」という固定観念から、私たちが再現する際にはていねいに描きます。しかし完成品は何かが違っています。鍋島や金襴手の拡大写真を見ると、江戸時代の職人たちの絵付けには、勢いある早さがあります。細部では人間の暖かみに溢れ、遠くからは精確に見える。真似のできそうでできない技術です。
●藤竜也(俳優)
心かき乱された。表面にあらわれる抽象的で複雑な表情は、不思議なほど美しい。桃山時代の志野や伊賀を初めて見たときの衝撃以来、少しでも近づきたくて作陶を始めた。この本を見ていると、その頃の気持ちを思い出した。人智や技術を尽くしても、最後は炎にお任せするしかない。桃山陶はいまだ魔女のように遠くから幻惑されるばかりだが、写真では一瞬だけ近寄ってくれた気にさせられた。
●真野響子(女優)
美しさを逃さずに済んだ。満月を天体望遠鏡で覗いたら、滴りが見えた。昔の人はすでにそれを句に詠んでいた。この本の拡大写真を見て、昔の人はここまでのやきものの美しさをもしかしたら知っていたのではないかと思った。これを逃さずに済んで嬉しい。
●福田和也(文芸評論家)
名器の本質が、一目瞭然で理解できる。画期的な書物が登場した。これまで、鑑賞体験の蓄積や、さまざまな伝承などから把握されてきた陶磁器の「美」とは一体なんだったのか。その一端が、最新技術によって明らかにされる。陶磁に関心を持つ者にとっては興奮せざるを得ない事態である。特に実作者にとっては、必携の1冊だろう。名器の肌、そのテクスチャーがどのようなものなのか、子細に検討できるのだから。
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