談志「師匠。いつごろ、死ぬんです」
小さん「うるせえ、馬鹿野郎。お前はそういうこと言うから駄目なんだ」
熱狂的な志ん朝ファンにはなぜか談志嫌いが多く、ことさら談志をけなすことで志ん朝の素晴らしさを強調する人たちがいる。彼らは両師匠がお互いを認め合って、お互いの健康を心配していたことを知らない。志ん朝が入院後、<円歌・志ん朝二人会>の代演を談志に頼み、談志が快く引き受けたことも知らないだろう。そう。<談志・志ん朝二人会>は落語ファンの夢の顔合わせであった。両師匠の体力、気力が充実していた時期なら実現したかも知れない。しかし、この数年は談志が食道ガンの手術を受け、志ん朝は糖尿病を患い、どちらかが病気だった。二人会は夢に終わった。――<本文11ページより抜粋>
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