光に魅せられた私の仕事

光の物語を世界の夜空に描く、「照明デザイナー」という仕事のすべて

29歳。やまとなでしこ。パリ、ノートル・ダム大聖堂のライトアップリニューアルに、チーフデザイナーとして参加。世界を舞台に活躍中！

そのとき、突然空気がどよめいたかと思うと、息をのむような歓声がいっせいに湧いた。人々の目は、カテドラルの正面に釘付けになった。ライトアップが点灯したのだ。特殊な光源を使っているため、充分な明るさが出るまで5分ほどかかる。その間、ゆっくりと起き上がるように輝きを増す光の中で、ファサードの細かなレリーフが浮き上がり、その全貌をあらわしていく。2002年12月23日、午後6時。私が照明デザイナーとして参加した大規模プロジェクト、ノートル・ダム大聖堂ライトアップのリニューアルが完成した瞬間だ。このときの光は、私の心に永遠に焼き付いていることだろう。――＜プロローグより抜粋＞