内容紹介
涙なくして読めない医学歴史小説の秀作
エゾ地警衛に当たるひとりの青年医!酷寒の地に次々倒れる津軽藩士たち。
文化年間に津軽藩が幕府の命によって数次にわたり藩士をエゾ地に派遣したのは、ロシア船のエゾ地襲撃に対する警衛のためであった。斎藤勝利はその津軽藩警衛隊の一員としてソウヤを経てシャリで越冬警衛し、その顛末を日記に記録した。恐ろしい寒気の中で壊血病のためにほとんどの藩士が死んでゆく。記述は、まことに鬼気迫るものがある。この『松前詰合日記』を読み、現地の砂丘とハマナス茨と荒波を見ると、私はこの僻地で、無援の越冬を強いられた百人余の津軽藩士の孤立した無意味な努力と襲い来る姿なき病魔の恐怖、絶望、望郷の想い、家族への切ない愛を痛いほど感じざるをえない。身を凍らせながらも、武士としての倫理を守ろうとするその姿は、すでに失われている日本人の姿である。――〔あとがきから〕
製品情報
製品名 | 医者と侍 |
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著者名 | 著:二宮 陸雄 |
発売日 | 2003年09月27日 |
価格 | 定価:1,980円(本体1,800円) |
ISBN | 978-4-06-212027-2 |
判型 | 四六 |
ページ数 | 266ページ |