市川團十郎代々

市川團十郎という役者は歌舞伎の歴史上に12人存在している。

並み居る役者の中から、無名の一青年だった市川團十郎という役者が、まず卓越した天性と技量とをもって抜け出した。そして「おそらく末代の役者のかゞみとも成べき人なり」とまで評価されるようになったのが、長い團十郎史の出発点だった。以後、およそ300年を経た現代に至るまで、12人の「市川團十郎」が、それぞれの時代に花を咲かせつづけてきた。市川團十郎の代々は近世文化史を体現してきたと言っていいのである。

「見て楽しむ」市川團十郎史。
代々の團十郎を描いた役者絵、番付、舞台写真など、約240点を収録。紙上の「市川團十郎展」を目指した。