愚連隊と呼ばれた。 ズベ公と呼ばれた。 みんな生き急いで、駆け抜けて、死んだ。男と女の悔悟と、最後の誇り。 その過去は、振り返るにはあまりに苦すぎた。 アウトローとしてしか生きられなかった男たちが、人生の分かれ道に舞い戻ったときに思い知る「時」の重さと残酷さ。柴田錬三郎賞受賞第1作となる、切ない短編集。 妙な気持ちだ。 いざ訪ねてきてみると、とくべつの感傷もわいてこない。 あのころの記憶のすべてに、痛みがともなっていることを確認するくらいだ。……(本文より)