名歌手、稀代の舞台女優越路吹雪が甦える!
没後20年を経てなお根強いファンを持つコーちゃん。最初で最後の本人の日記、エッセイを中心に、親友岩谷時子が綴るその素顔を秘蔵写真と共に公開。垂涎の1冊。
ピアフを2度聞く語ることなし。(中略)私は悲しい。夜、ひとりで泣く。悲しい、淋しい、私には何もない、何もない。私は負けた。泣く、初めてパリで。──越路吹雪「パリ日記・1953年5月7日」より
今から46年前(昭和28年)越路吹雪さんは、シャンソンを歌いつづけるなら本場でシャンソンを聞き、パリの風にもふれたいと単身パリへ旅立った。若い日の思い出になるからと、私は彼女に日記を書くことをすすめた。生活も言葉もちがう国で、そんな余裕はないだろうと思っていたが、思いがけず日記を書いて帰国した。飾り気のない、一生一度の、いかにも彼女らしい日記だった。──岩谷時子「はじめに」より
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